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外国人が日本で働くための在留資格(ビザ)は数多くありますが、中でも企業からのご相談で多いのが「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」と「特定技能」です。
一見似ているように思えるこれらのビザですが、対象となる職種や要件は大きく異なります。
本記事では、行政書士の視点から 「技人国」と「特定技能」の違い をわかりやすく解説します。
目次
1. 技人国(技術・人文知識・国際業務)とは?ホワイトカラーの方のためのビザ
技人国とは、就労系の在留資格の一つであり、正式名称は「技術・人文知識・国際業務」です。
主にエンジニアや営業、通訳などの、ホワイトカラー職種に従事する外国人のための在留資格です。
主な対象職種
主な対象職種は以下の通りです。
技術 | ITエンジニア、機械設計、製造技術者など |
人文知識 | 経理、マーケティング、法務、人事など |
国際業務 | 翻訳・通訳、海外取引営業、語学指導など |
このように、専門知識を必要とする、「ホワイトカラー職種」が対象となります。
主な取得要件
主な取得要件は以下の通りです。
- 大学卒業以上(または同等の学歴)
- 専攻が従事業務と関連していること
- 学歴がない場合は、実務経験10年以上(国際業務は3年以上)
この中で最も重要なポイントは、「専攻が従事業務と関連していること」です。
せっかく大卒で採用しても、学歴と従事する業務が関連していないと、技人国ビザをもらうことはできません。
たとえば、ITエンジニアとして採用する際は、情報学部等を卒業していること、実際に業務に関連する授業を受けていることを確認しましょう。
2. 特定技能とは?人手不足を補う人材のためのビザ
特定技能とは、特定の分野で一定以上の技能や知識を持つ外国人を受け入れるための制度です。
人手不足分野の人材を補うために活用されています。
ただし、受け入れ可能な職種が決まっているので、注意が必要です。
対象となる16分野
特定技能で受け入れ可能な職種は以下の通りです。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
このように、主に人手不足の業界を中心に、受け入れることができます。
詳しくは入管HPをご覧ください。
主な取得要件
特定技能ビザの主な取得要件は以下の通りです。
- 技能試験に合格していること
- 日本語能力試験(N4程度)または技能試験内の日本語評価に合格
さらに、特定技能1号の場合は、所属機関(特定技能外国人が働く会社)または登録支援機関による支援の対象となる必要があります。
わかりやすく言うと、会社で住居など生活面の面倒を見る必要があり、それができない場合は、登録支援機関という特定技能外国人のサポートをする機関に支援を委託する必要があります。
3. 技人国と特定技能の違いは?
技人国と特定技能の違いを以下の表にまとめました。
項目 | 技人国 | 特定技能 |
主な職種 | ホワイトカラー(事務・技術職) | 現場作業系・サービス業など人手不足分野 |
学歴要件 | 原則あり(大卒、または職歴要件) | なし |
必要試験 | 不要 | 技能試験+日本語試験 |
在留期間 | 最長5年ごと更新可(更新制限なし) | 特定技能1号:最長5年まで(2号は更新制限なし) |
永住申請への道 | 条件を満たせば可能 | 1号は不可、2号は可能 |
家族帯同 | 原則可 | 1号は不可、2号は可 |
4.技人国と特定技能のどちらを選ぶべき?
外国人を採用したい企業の方は、技人国と特定技能のどちらを選ぶべきか、迷う方が多いでしょう。
技人国と特定技能を選ぶ際のポイントは、実際の仕事内容です。
高度な知識を用いる仕事なのか、それとも現場作業なのかで大きく変わります。
ここからは、技人国と特定技能のどちらを選ぶべきか、分かりやすくご紹介します。
専門職人材を採用したい企業 は 技人国がおすすめ
技人国は、IT、設計、海外取引など、高度な知識・スキルが必要な業務に適しています。ホワイトカラー職種の外国人を雇いたい場合には、技人国をおすすめします。
人手不足分野の現場作業で外国人を採用したい企業 は 特定技能がおすすめ
特定技能は介護、外食、建設など、即戦力として働ける人材が対象です。特に、現場作業については技人国ではできません。現場作業員を募集している場合は、特定技能をおすすめします。
5. 技人国・特定技能ビザ申請の際の3つの注意点
1.職務内容と在留資格の一致が必須
実際の業務内容が在留資格と合っていないと、更新時に不許可の可能性があります。
2・特定技能は雇用契約書や支援計画の作成が必須
特定技能のビザ申請では、雇用条件書や支援計画などの、受入企業が作成する書類が多いため、事前準備が重要です。
手に負えない場合は、行政書士に書類作成を依頼するのがベストです。
技人国では現場作業がNG
技人国で現場作業員を雇うことはできません。
特に、特定技能で受け入れ可能な職種の場合、特定技能との業務内容の違いについて厳しく問われます。
どんな知識が必要なのか、本当に技人国でないとだめなのか、しっかりと説明できるようにしましょう。
まとめ
- 技人国は「学歴や専門スキルがある外国人向け」、
- 特定技能は「特定の人手不足業種で働く外国人向け」。
どちらを選ぶかは、採用する職種や求める人材像によって異なります。
在留資格の選定や申請には専門的な知識が必要なため、迷った場合は行政書士にご相談ください。
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