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2025年9月30日、出入国在留管理庁は「特定技能外国人受入れに関する運用要領」を改訂しました。
今回の改正は、制度の安定運用と柔軟な在留継続を目的としたもので、在留期間の設定や上限期間の扱い、定期届出制度など、現場実務に大きく関わる変更が加えられています。
本記事では、主な改訂ポイントを3つご紹介します。
最後まで読めば、新しい特定技能運用要領をほとんどマスターできるでしょう。
目次
特定技能1号の在留期間の見直し
これまで「特定技能1号」の在留期間は「1年を超えない範囲」とされていましたが、
改正後は「3年を超えない範囲」で付与できるようになりました。
また、「特定技能2号」についても以下のとおり明確化されています。
- 特定技能1号:3年を超えない範囲
- 特定技能2号:3年、2年、1年、または6か月
これにより、1年ごとの更新に比べて安定的な雇用契約が可能となり、
企業・支援機関の事務負担が軽減されることが期待されます。
特定技能の通算在留期間の上限(5年)に関する特例
特定技能1号の在留は原則5年までですが、
妊娠・出産・育児、または病気・怪我(労災を含む)による休業期間は通算に含まれないことが明記されました。
さらに、特定技能2号への移行に向けた試験で一定の成績を収めた者について、
最大6年まで延長できる特例が新設されました。
延長が認められる条件
- 特定技能2号評価試験に不合格だが、合格基準点の8割以上を得点している
- 試験合格に向けて引き続き受験を行っている
- 受入れ機関に引き続き雇用意思と支援体制がある
※ただし、自動車整備分野・航空従事者分野は対象外です。
この見直しにより、優良な人材の継続雇用や再挑戦の機会が確保され、
実務上も「上限到達による帰国リスク」への柔軟な対応が可能になります。
特定技能の定期届出制度の変更(添付書類の扱い)
これまで、在留資格変更や更新のたびに提出していた
「所属機関の適格性書類」は、
今後、年1回の定期届出(「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出」)の添付書類として提出する形に変更されました。
対象書類の例
- 登記事項証明書
- 役員の住民票写し
- 労働・社会保険料、国税、法人住民税の納付資料
- 概要書・誓約書 など
提出省略が認められる機関
以下の条件を満たす場合、添付書類の提出を省略できます。
- 過去3年間に行政指導・改善命令を受けていない
- 在留申請をオンライン申請、届出を電子届出で行っている
- 日本の証券取引所上場企業や相互会社等、一定の信頼性を有する機関
- 特定技能所属機関として3年以上の受入実績がある
オンライン申請・電子届出の登録が省略の必須条件(※2026年4月以降)となるため、
事前の利用者登録を忘れずに行う必要があります。
特定技能運用要領改訂の実務的ポイントまとめ
区分 | 改正内容 | 実務上の対応ポイント |
在留期間 | 1号:最長3年/2号:最長3年・2年・1年・6月 | 契約期間・支援計画書の期間を見直す |
通算上限 | 妊娠・出産・育児・病気期間は含まない | 休業証明・疎明資料の整備 |
試験不合格時の特例 | 80点以上で1年延長(最長6年) | 特定技能2号移行支援を強化 |
定期届出 | 年1回に集約・電子化可 | オンライン申請・電子届出登録を推進 |
まとめ
2025年改正の特定技能運用要領は、
「人材の継続活用」「電子化」「支援体制の信頼性向上」を目的とした実務的な見直しです。
企業や登録支援機関は、
- 在留期限管理と支援スケジュールの再構築
- 妊娠・育児・病気等による休業対応の記録体制整備
- 定期届出と電子化への移行準備
を早めに進めておく必要があります。
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