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目次
相談事例
先日、難民申請中の外国人の方が当事務所にご相談に来られました。その方は難民認定申請をしたけど不認定となりました。「これからどうすればいいのか」「強制送還されてしまうのではないか」と不安を抱える様子でした。こうしたご相談は決して珍しくありません。特に2024年6月施行の改正入管法により、難民申請制度は大きく変わり、申請の回数制限 や 審査の厳格化 が進んでいると思われます。
そもそも「難民」とは?
まず、「難民」の定義を確認しておきましょう。
1951年難民条約の第1条で、難民とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義されています。日本ではこの定義を基準に、法務省が難民認定を行っています。しかし実際には、認定率は極めて低いため、不認定となった方々が次の手段を模索するケースが増えています。
「補完的保護対象者」について
2023年12月の入管法改正により、新たに導入された制度が「補完的保護対象者」 です。
これは、難民条約上の難民には該当しないが、帰国すれば生命・身体に危険が及ぶと考えられる紛争避難民などを保護するための制度です。
- 難民認定 → 「難民」として在留資格「定住者」につながる可能性あり
- 補完的保護対象者 → 難民ではないが「定住者」への在留資格変更が認められる可能性あり
難民認定申請の「回数制限」
2024年6月の改正入管法により、難民認定申請は 原則2回まで に制限されました。
- 1回目・2回目の申請 → 従来どおり審査対象
- 3回目以降の申請 → 「相当な理由」を示す資料がなければ却下され、強制送還の対象
この背景には、「難民認定申請を繰り返すことで送還を免れる」という制度の悪用を防止する目的があると思われます。難民申請が単に「就労ビザの代替」と見なされやすくなっていたが、法改正で就労希望者にとっては大変厳しい状況となっています。
難民申請中にできること
難民申請をしている方は、不認定となる前に 他の在留資格への変更を検討することが重要です。代表的な選択肢としては次のようなものがあります。
- 特定技能ビザ(就労系)
- 技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザなど(就労系)
- 日本人の配偶者等(身分系)
就労ビザとして特に「特定技能ビザ」は、他のビザと比べて比較的取得しやすい傾向があります。ただし、試験合格が必要であるため、早めの準備が不可欠です。
在留資格変更の審査ポイント
難民申請中に別の在留資格へ変更を希望する場合、入管は次の点を厳しく審査します。
- 難民申請時の理由と背景
- 現在の在留状況と変更申請の整合性
- 難民申請と変更申請の内容に矛盾がないか
- 変更申請に合理的な理由があるか
「就労ビザ」の場合、雇用理由書や会社の採用背景を丁寧に説明する必要があります。
「日本人の配偶者等」(結婚ビザ)であっても、偽装結婚を疑われないよう、夫婦関係の実態を示す資料の提出が求められます。
実務アドバイス
- 難民申請は 安易に繰り返さない
- 難民申請中であっても 在留資格変更の準備を進める
- 特定技能ビザなど、取得しやすい在留資格を早めに検討
- 行政書士に相談し、書類の一貫性を確保することが重要
まとめ
難民申請制度は法改正により、大きく変化しました。実際の相談事例でも見られるように、「申請が通らなかった後、どうすればいいか」 という課題は今後さらに増えるでしょう。そのため、行政書士としては「難民申請に依存せず、他の在留資格を視野に入れる」ことを強くお勧めします。もし同じような状況でお困りの方は、早めに行政書士などの専門家にご相談ください。
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