「日本で難民申請をしているけれど、なかなか結果が出ない…」
「就労や結婚によって在留資格を変えたいけれど、可能性はあるのだろうか…」

そんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際、日本の難民認定率は他国と比べて極めて低く、令和5年度の認定率はわずか約2%にとどまっています。

本記事では、難民認定申請の現状を数字と事例でわかりやすく解説するとともに、
「申請中に日本人と結婚した場合はどうなるのか」
「就労ビザや特定技能に切り替えることはできるのか」など、
多くの方が直面する悩みや選択肢について、実際の相談事例を交えて紹介します。

制度の現実と向き合いながら、あなたにとって可能性のある道を見つける手がかりとなれば幸いです。

日本における難民認定申請の現状は?認定率は約2%

日本で難民申請をされる方にとって、実際に認定された人の割合(認定率)は非常に気になると思います。

では、日本における難民申請の認定率はどのくらいなのでしょうか。

令和5年度の難民認定申請者数は 13,823人 でした。そのうち 難民として認定されたのは303人 で、認定率は約2%にとどまります。

また、人道的配慮により在留を認められた方が 1,005人 います。難民認定者と合わせても 1,308人(約10%) しか在留を認められていません。

では、残りの約90%の方々はどうなっているのでしょうか?

  • 難民認定申請中のまま「特定活動」の在留資格で滞在を続けている
  • 出国を求められている
  • 難民ではない別の在留資格を取得、または申請中である

など、さまざまなケースが考えられます。

当社を訪れる難民申請者の方々の相談事例|日本人と結婚

当事務所にも、難民認定申請中の方が相談に訪れることがあります。
多くの方は短期ビザで入国し、本国の事情により 帰国が困難または帰国を望まない 状況にあります。

日本人と結婚するケース

難民申請中の外国人が 日本人と結婚する ケースもあります。

この場合、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得できる可能性はあります。

ただ、その結婚が真正なものであることを主張したとしても、申請が認められる可能性は低いと思われます。

過去には、すでに オーバーステイの状態で出国命令が出ている 方が相談に訪れました。

その方は日本人女性とともに来所し、

「今日、結婚して区役所に婚姻届を提出してきた。これで『日本人の配偶者等』のビザを取得できるか?」
と質問されました。

入管に確認したところ、

「日本人と結婚したからといって、すぐに出国命令が取り消されるわけではない」
との回答でした。

つまり、一度帰国し、母国から『日本人の配偶者等』のビザを申請する必要がある ということです。

しかし、その方は 本国に帰国できない特別な事情がある と話しており、適切なアドバイスをするのが難しい状況でした。

難民申請中から就労資格への変更

難民認定申請中の方が 就労資格への変更 を希望するケースも多くあります。

「特定活動」の在留資格で滞在している場合、就労可能なケース と 就労不可のケース があります。
たとえ就労可能でも、許可される期間は 3ヵ月または6ヵ月 と短期間であり、長期的に安定した就労を望む方にとっては不安定 です。

また、「難民認定申請中」から 技術・人文知識・国際業務 の在留資格に変更することは 非常に難しい のが現状です。
たとえ本国で大学を卒業し、実務経験があり、日本の企業から就職の内定を得ていたとしても、許可率は低いのが実情です。

ただし、特定技能 であれば、要件を満たせば 難民申請中でも資格変更が許可される場合があります。
特定技能の場合、高学歴や専門知識は不要 です.

しかし、日本語能力試験や技能試験に合格することなどの要件があり、また受け入れ企業の方にも様々な要件があります。

したがって、企業側の協力が不可欠な申請と言えるでしょう。

このように、特定技能への変更も 決して簡単ではなく、高いハードルがある ことは変わりません。

最後に

当事務所を訪れる難民申請中の方の中には、入管で相談した帰りに立ち寄る方 もいます。
その際は、まず丁寧に事情を聞き、できること・できないことを明確に説明 することを心掛けています。

特に、在留資格の変更が難しいことを十分に理解してもらうことが重要 です。
その上で、「可能性が低くても手続きを進めたい」と希望する場合のみ対応することとしています。

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