近年、人手不足や外国人材活用の必要性が叫ばれており、外国人活用に興味のある方も多いでしょう。

本記事では、外国人材がどの程度活用されているのかデータをもとに実態を解説するとともに、在留資格ごとの審査のポイントもご紹介いたします。

日本で働く外国人の数はどれくらい?

現在日本に在留している外国人の数は、法務省が出している資料によると2024年6月末現在3,588,956人です。2014年12月末は2,121,831人でしたので、この10年間で約1.5倍に増えています。

この数は、横浜市の人口と大体同じです。この内、特定技能など就労系の在留資格を取得して就労している人数は1,245,211人です。

その他、永住資格を取得している方々(902,203人)などは制限なしで就労可能ですし、「留学」の資格を取得し、勉強されている方々(368,589人)も資格外活動許可を申請し、入管が承認すれば週に28時間に限り、アルバイトすることが認められておりますので、何らかの形で実際に働いている外国人の数は200万人前後であると思われます。

取り扱いの多い就労資格

外国人のための就労資格は多種多様ありますが、当事務所で取り扱いの多い就労資格は、特定技能、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、経営・管理などです。

特定技能資格|人手不足解消のための外国人材

項目 特定技能1号 特定技能2号
目的 人手不足分野への外国人材受け入れ より熟練した外国人材の継続的受け入れ
受入可能業種数 16業種 11業種
在留期間の上限 最大5年間 制限なし(更新は必要)
家族帯同 不可 可能
転職 可能 可能

特定技能資格は、人材不足の解消のための外国人人材の活用を目的として2019年から受け入れが始まった在留資格です。その中で、特定技能1号と特定技能2号という区分があります。

受け入れ可能な業種が決まっていて、特定技能1号では16業種。特定技能2号では11業種です。特定技能1号で認められていて、2号では認められていない業種は、介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の5業種です。

2024年6月末のデータによると特定技能資格での在留者は251,747人。その内特定技能1号が251,594人。特定技能2号が153人です。

特定技能1号、2号ともに転職は可能です。特定技能1号と2号の違いは、2号資格になると家族帯同が可能になることと、更新は必要ありますが、在留期間の制限が無くなることです。

特定技能1号での在留期間の上限は5年間と決められております。

特定技能制度|出入国在留管理庁

 

技術・人文知識・国際業務|専門知識や語学力を必要とする高度人材

項目 内容
対象分野 – 技術:理系分野(システムエンジニア、設計、施工管理など)- 人文知識:文系分野(人事、経理など)- 国際業務:通訳・翻訳・文化的感受性が必要な業務
主な取得要件 – 大学卒(または同等の学歴)- 学歴と業務内容の関連性が必要
注意点 – 文系卒で工場の技術職には適用されない- 受け入れ企業の財務健全性も審査対象

こちらの資格での滞在者は、2024年6月末時点で394,295人です。

技術資格は、理系分野(システムエンジニア、設計、施工管理など)。人文知識は文系分野(人事、労務、経理、経営コンサルタントなど)。国際業務は、通訳、翻訳や外国の文化に基盤がある思考や感受性が必要な業務。と要件が定められています。

先日は、ある工業製品製造業のライン管理のCAD技術者の在留許可更新の依頼がありました。

長年勤めており、その会社の重要な戦力になっているベトナム人の方です。ご要望通りの3年間の更新が認められることを祈っています。

最初にこの資格の認定を得るには、大学卒かそれと同等の教育を受けたという学歴要件があります。それに加え、大学での学歴と行おうとする業務に関連性があることが必要です。(文系の大学を出た工場の技術者は不可)また、受け入れする企業についても財務状況などが審査されます。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」|出入国在留管理庁

 

技能|その人にしかできない技術を持った人材

項目 内容
対象業務の例 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機操縦者、貴金属加工職人 など
取得要件 – 特定分野における熟練した技能- 原則として10年以上の実務経験が必要(例:調理師)
注意点 – 業務範囲が厳格に定められており、例:ホールでの接客は資格外活動に該当

2024年6月末時点で44,814人がこの在留資格で日本に滞在しています。

出入国管理局ホームページには、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 該当例としては、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等。」とあります。

当事務所で依頼を受けるのは外国料理の調理師が多いです。インド料理など日本人にはできない独特のスパイスの調合などの技術をもった調理師が日本のインド料理レストランで働くための在留資格取得依頼です。

要件としては10年間の業務経験が求められています。例えば、この資格の人がレストランのホールで接客をしていたとすると、それは資格外活動ということになります。注意が必要です。

在留資格「技能」|出入国在留管理庁

 

経営・管理|日本で経営者になりたい外国人のためのビザ

項目 内容
主な対象者 外国人経営者・事業主、上場企業の役員など
提出書類の分類 会社の規模によりカテゴリー1~4に分類(例:上場企業=カテゴリー1、個人事業=カテゴリー4)
起業時の主な要件 – 資本金500万円以上- 常勤職員2名以上(日本人または永住者・配偶者等)- 会社設立が必要
注意点 経営専任が原則であり、調理などの実務を行う「オーナーシェフ」は認められない

この資格での在留者は2024年6月末時点で39,616人です。経営管理ビザの取得のために提出が必要な書類については会社の規模により、4つのカテゴリーに分けられています。

カテゴリー1は上場企業、国・地方公共団体などです。カテゴリー4の個人企業に比べ、提出書類などもすくなくなっています。上場企業の役員クラスなどの在留申請がカテゴリー1にあたると思います。

個人企業を営む外国人でも日本での開業を目指す方はいます。

まずは会社設立が必要です。資本金は500万円以上で、少なくとも常勤の職員が2名以上いなければなりません。この2名は日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者でなければなりません。

先日当事務所にあった依頼は、長年インド料理レストラン調理人として仕事を続けてきたスリランカ人の方が、オーナーの日本人から株を譲り受け、自らオーナーとして、経営するために、「技能」ビザから「経営・管理」ビザへの変更をしたいというものでした。

この際注意しなければならないのは、「経営・管理」ビザを取得したあとは、経営に専念し、調理ができないということです。「オーナーシェフ」は入管では認められません。

在留資格「経営・管理」|出入国在留管理庁

著者情報

外国人の在留・ビザ・帰化手続きに強い行政書士法人。英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語対応・全国対応で、外国人の方の日本での生活をサポートしています。

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