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日本における在留資格の一つに「企業内転勤」があります。転勤は同一法人内の異動・配置転換をいうことが多いですが、入管法上の「企業内転勤」に該当する「転勤」は、同一法人内の異動のほか、系列企業内の出向による異動も含まれます。

ここでいう系列企業とは、親会社、子会社、関連会社を指し(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」総則第八条を参照)、これらの会社にあたらない、単なる業務提携関係では、企業内転勤の在留資格該当性がないとされています。

実務の場面でよく相談を受けるのが、「関連会社とは具体的にどの範囲を指すのか」という点です。ここを正しく理解しないと、せっかくの申請が不許可になってしまう可能性があります。

 

条文による定義

「関連会社」とは、会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」総則第八条の5を引用)

 

「関連会社」の具体例

(上記「規則」総則第八条の6を参照)

①議決権の20%以上を自己の計算において所有

②議決権の15%以上、20%未満を自己の計算において所有。かつ、次のいずれかに該当

イ 当該「他の会社等」の代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること。

ロ 重要な融資を行っていること。

ハ 重要な技術を提供していること。

ニ 重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること。

ホ 財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。

③自己の計算において所有している議決権と、自己と同一内容の議決権を持つ者と合わせた場合に、議決権の20%以上を占め、かつ、前号イからホまでに揚げるいずれかの要件に該当

④複数の独立した企業により、契約等に基づいて共同で支配される企業(「共同支配企業」)に該当する場合

 

注意点

ここで重要なのは、単なる「業務提携」や「取引先」は含まれないという点です。あくまでも資本関係や経営上の一体性が認められるかどうかが判断の基準となります。

1.認められにくいケース

例えば、以下のようなケースでは慎重な対応が必要です。

  • 関連会社と称しているが、実際には業務委託契約のみで資本関係がない
  • 関連会社であることを証明できる資料が不十分
  • 日本側の受入会社が設立間もなく、実態が乏しい

こうした場合には、「企業内転勤」よりも「技術・人文知識・国際業務」での申請を検討することは考えられます。

2.実務で生じやすい誤解

申請の現場でよく見られる問題のひとつに、「関連会社」の定義を誤解してしまうケースがあります。たとえば、「長年にわたり取引を続けているので、関連会社と同じ扱いになるだろう」と誤って判断してしまう企業があります。しかし、資本関係や経営上のつながりが存在しない限り、法的には「関連会社」とは認められず、その結果、申請が不許可となってしまいます。

3.関連会社における業務内容

また、転勤対象者の職務内容も重要です。海外で行っていた職務と、日本で予定されている職務内容が一致している必要があります。関連会社であることに加え、業務内容の継続性をきちんと説明できるかどうかが審査の鍵となります。

 

行政書士としてのサポート

企業内転勤の在留資格を取得するには、「関連会社」の定義を正しく理解し、それを裏付ける資料を整えることが不可欠です。親子会社関係や資本関係が明確に示せる場合はスムーズに進みますが、そうでない場合は事前に専門家に相談することをおすすめします。

 

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