外国人の在留・ビザ・帰化手続きに強い行政書士法人。英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語対応・全国対応で、外国人の方の日本での生活をサポートしています。
実務経験に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。
「外国人の採用を考えている」
という企業の皆様。
外国人材が日本で就労する際によく検討される主要な在留資格として、「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)があります。
両者はいずれも専門的な業務を対象としていますが、適切な選択を誤ると不許可や不法就労につながる可能性があるため、違いを正しく理解することが重要です。
目次
企業内転勤と技術・人文知識・国際業務の特徴と違い
まず大きな違いは、申請者の経歴や雇用形態にあります。
| 比較項目 | 企業内転勤ビザ | 技術・人文知識・国際業務ビザ |
| 対象者 | 海外にある親会社・子会社・関連会社に1年以上勤務し、日本法人へ転勤する社員 | 日本の企業が海外から直接雇用する新規人材 |
| 学歴・職歴 | 1年以上の海外勤務経験が必須。学歴は不問 | 大卒以上の学歴、または10年以上の実務経験が原則 |
| 業務内容 | 技人国と同様、専門的な業務に限定 | 同左 |
| 雇用契約 | 海外法人との雇用関係が継続し、日本へ出向 | 日本法人と新たに雇用契約 |
| 在留期間 | 5年・3年・1年・3か月。転勤期間の定めあり | 5年・3年・1年・3か月。転勤期間の定めなし |
| 転職の可否 | 転職は不可。転職するには在留資格変更が必要 | 条件を満たせば転職可能 |
技術・人文知識・国際業務では大卒以上の学歴などが必要ですが、企業内転勤では1年以上の経験があれば、学歴は不要です。
また、技術・人文知識・国際業務では日本法人と新たに雇用契約を結ばなければならないのに対し、企業内転勤では、海外法人との雇用契約を維持したまま、日本に出向することができます。
このように、企業内転勤の方が自社の人材を気軽に活用できる仕組みになっています。
一方、技術・人文知識・国際業務は、在留資格該当性があれば転職ができます。
これは企業内転勤との大きな違いです。
企業内転勤と技術・人文知識・国際業務で、メリット・デメリットが異なるので、どちらのビザを選ぶべきか慎重に検討することが必要です。
企業内転勤と技術・人文知識・国際業務どちらのビザを選ぶべきか
ここからは、どちらのビザを選ぶべきか、ケース別にご紹介します。
企業内転勤ビザが適するケース
- 海外グループ会社から日本法人へ社員を派遣する場合
- 転勤期間が事前に決められている場合
- 学歴は不問だが、関連分野で1年以上の実務経験がある場合
以上のように、自社人材を有効に活用したい場合には、企業内転勤がおすすめです。
技術・人文知識・国際業務ビザが適するケース
- 日本法人が海外から新規人材を直接採用する場合
- 長期的に日本で勤務する前提で雇用契約を結ぶ場合
- 海外勤務1年以上の実績がなく、企業内転勤の要件を満たさない場合
企業内転勤の要件を満たさない場合や、日本で長く働く場合は、技術・人文知識・国際業務を検討しましょう。
不適切な選択によるリスク
誤った在留資格で申請すると、重大な問題を招く可能性があります。
不許可
不適切な在留資格を選択すると、要件を満たせず、許可が下りません。
不法就労助長罪
業務内容と在留資格が一致しない場合、企業側も処罰対象となる可能性があります。
このため、初期段階で正しい在留資格を見極めることが不可欠です。
実務上の判断とまとめ
原則として、外国人が日本の関連会社で1年以上勤務しているなら「企業内転勤」、新規に採用する場合は「技術・人文知識・国際業務」を選ぶのが基本的な考え方です。
ただし、申請者の学歴や職歴、雇用契約の内容、業務の実態などを総合的に確認する必要があります。
どちらを選択すべきか判断が難しい場合は、入国在留管理局への確認や、行政書士など専門家への相談が最も確実です。
適切なビザを取得することが、本人の安定した在留と企業の法令遵守の両方に直結します。
関連記事
外国人の在留・ビザ・帰化手続きに強い行政書士法人。英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語対応・全国対応で、外国人の方の日本での生活をサポートしています。
実務経験に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。


