外国人の在留・ビザ・帰化手続きに強い行政書士法人。英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語対応・全国対応で、外国人の方の日本での生活をサポートしています。
実務経験に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。
「技能実習から技人国への変更はできるの?」
「どんな条件を満たせば就労ビザに切り替えられるの?」
技能実習を終えた外国人の方から、このようなご相談を受けるケースは非常に多くあります。
しかし、技能実習から「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)などの就労資格へ変更する場合、入管による審査は厳しく、十分な準備と理解が必要です。
本記事では、技能実習から技人国など他の就労ビザへ変更する際に必要な条件や注意点、許可を得るためのポイントを行政書士の視点から詳しく解説します。
目次
技能実習制度と技人国の違いを理解しよう
技能実習も技人国も、同じ就労ビザと思われがちですが、制度趣旨などに大きな違いがあります。
技能実習制度とは?
技能実習制度は「外国人が日本で技能を学び、その技能を母国に移転すること」を目的としています。
つまり、日本で長く働き続けるための制度ではなく、「学んだことを母国に持ち帰り、経済発展に役立てる」ことが本来の趣旨です。
技人国(技術・人文知識・国際業務)とは?
一方で、技人国は専門知識を活かして日本の企業で就労するための在留資格です。
学歴や職歴を基に、ITエンジニアや通訳、事務職などのホワイトカラー職種での就労が想定されています。
技能実習から就労資格に変更する際に問われる2つの視点
技能実習から技人国などの就労資格に変更する際には、以下の2点が重要です。
- 技能実習制度の趣旨に反していないこと
- 技能実習申請時の申告内容との変更点を説明できること
どちらか一方でも欠けていれば、不許可となるリスクがあります。
しかも、技能実習→特定技能→技人国のように、途中で特定技能を経験している場合も、こちらの2点を説明できなければなりません。
ポイント①技能実習制度の趣旨に反していないこと
まず最も重視されるのが、「制度の趣旨を逸脱していないか」という点です。
具体的には、以下の条件を満たしていることが求められます。
① 契約内容が受け入れ関連であること
申請人の雇用契約内容が、監理団体や実習実施者など技能実習生の受け入れに関連する事業である必要があります。
② 技能移転に資する活動であること
技能実習で学んだ知識や技術を活かし、母国から来日する技能実習生に対して指導を行うなど、技能移転に貢献する活動であることが求められます。
単に自分が働くのではなく、教育・育成の役割を担うことがポイントです。
③ 日本語能力N2相当以上を有すること
実習生を指導する立場になる以上、日本語能力試験(JLPT)N2以上の日本語力が必要とされます。
会話だけでなく、書類作成や職場での指導に支障がないレベルであることが重要です。
④ 業務量が十分に確保されていること
勤務先における実習生の数や業務内容を考慮し、十分な業務量があり、技能実習生と同じ作業ではないことを明確にする必要があります。
⑤ 技能実習計画の達成
申請人が技能実習計画上の到達目標をきちんとクリアしていることが前提です。
途中で計画を投げ出しての変更は、制度趣旨に反しているとみなされる可能性があります。
ポイント②技能実習時の申告内容との変更説明が必要
技能実習から就労資格へ移行する場合、技能実習ビザ申請時に提出した申告内容と現在の状況にどのような違いがあるかを説明することが不可欠です。
そもそも技能実習ビザ申告内容とは、「技能実習終了後、本国で技能移転をする」というものです。
あまりピンと来ないかもしれませんが、外国人技能実習機構に提出する計画認定の資料の中で、必ずこの内容を申告しているはずです。
例えば:
- 当初は「母国へ帰国して学んだ技術を活かす」予定だったが、日本で実習生の指導を任されることになった
このように、変更点を合理的に説明できるかどうかが審査の鍵となります。
技能実習から技人国への変更が不許可となるケースの具体例
技能実習から技人国への変更を希望しても、以下のような場合は不許可となる可能性があります。
- 技能実習計画を最後まで遂行せず、途中で離脱した
- 技能実習と同じ作業内容で就労を希望している
- 日本語能力が不十分で、指導的役割を担うのが難しい
- 就労先に十分な業務量が確保されていない
つまり、「ただ働き続けたい」という理由では認められず、制度目的に沿った変更であることが重要です。
許可を得るためのポイントと準備
技能実習から技人国へスムーズに移行するためには、以下の準備が有効です。
- 日本語能力試験N2以上の資格取得
- 技能実習計画をきちんと終了し、修了証明を取得
- 雇用先からの推薦状や業務内容説明書を準備
- 技能移転に関する具体的な計画を提示
これらの証拠を整えることで、在留資格変更の可能性は高まります。
まとめ:制度趣旨を理解して正しい在留資格変更を
技能実習から技人国などの就労資格へ変更するのは簡単ではありません。
しかし、以下の条件を満たし、しっかりと準備をすれば可能です。
- 技能実習制度の趣旨に反していないこと
- 技能実習で得た知識を母国や実習生指導に還元できること
- 日本語能力や業務内容の適格性があること
- 申告内容との変更点を明確に説明できること
正しい手続きを踏むことで、技能実習を経て日本での新しいキャリアを切り開くことができます。
関連記事
外国人の在留・ビザ・帰化手続きに強い行政書士法人。英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語対応・全国対応で、外国人の方の日本での生活をサポートしています。
実務経験に基づいた信頼性の高い情報をお届けします。


