就労ビザ申請

就労ビザ申請

就労ビザ申請は主に、1.技術・人文知識・国際業務2.経営・管理3.企業内転勤4.技能5.特定活動(ワーキング・ホリデー、インターンシップ等)など就労可能な在留資格としては20種類以上あります。
ただ、長年入管業務に携わってきた経験からお話しすると上記の5種類のいずれかに該当するケースがほとんどです。

ここで注意すべきは日本で収入を伴う活動、つまり、お金を稼ぐのであれば就労ビザを取得する必要があり、これは1日であろうと1時間であろうと期間や時間の長さに関係するものではありません。

海外の有名ミュージシャンを例にあげると、彼らは日本で数時間観客の前で歌を唄い、もしくは演奏をし収入を得て帰国します。特に長期間に亘って滞在している訳ではありませんが、たとえ数時間でも収入を得る活動を行っているため就労ビザが必要ということになります。

また、就労ビザの特徴は入国管理局より許可をもらった活動しか原則行うことができません。
つまり、翻訳・通訳の仕事に就くために許可をもらったのに、調理場で調理を行うことができないということです。

就労するまでの流れは大きく分けて2パターン

申請人が来日していない場合

申請人がすでに来日している場合

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務ビザとは?

大学や専門学校を卒業し、日本の企業に就職する場合に必要なビザです。もともと理系の大学・専門学校を卒業して理系の仕事に就く場合は「技術」、文系の大学・専門学校等を卒業して人文系の仕事に就く場合が「人文知識・国際業務」とされていましたが、2015年の法改正で1つになりました。
主な業務は、機械、建築、工学系エンジニア、SE、デザイナー、通訳・翻訳、語学講師、貿易事務、経理等が該当します。

このビザのポイントは、従事する仕事の内容と学校で勉強してきた内容に関連性があることが求められます。極端な例を挙げると、大学で学んできた内容が経済学であるにも関わらず、建築の設計の仕事をすることは認められないということです。

外国人の方を採用する際のポイント

  1. 従事してもらいたい仕事の内容が入管法で定められているビザに該当しているか
    上記でもご説明したとおり、就労できるビザは20種類以上ありますが、仕事によっては該当していないものもあります。工場のラインや工事現場で働く作業員、飲食店のホールや小売店のレジスタッフは、実のところ、該当する在留資格がありません。
    「あれ?でも最近、どのお店を見ても外国人のスタッフを見かけるけど?」と思われるかもしれませんが、彼らは就労系のビザ以外のビザを取得して仕事をしております。つまり、日本では現状、どのような仕事でもビザが認められる訳ではないということを理解する必要があります。なので、従事してもらいたい仕事の内容が入管法で定めているビザに該当しているか最初にチェックする必要があると言えます。
  2. 従事予定の業務内容と学歴(実務経験)に関連性があるかを確認
    就労ビザは、何と言っても、勉強(経験)してきた内容と従事予定の仕事内容が関連していることです。学校で建築学を学び、建築の設計の仕事に就くのであれば、関連性は明白ですが、関連性が非常にわかりづらいケースも数多くあります。また、大学を卒業した場合と専門学校を卒業した場合では、関連性の度合いにも違いがあります。大学の場合は、学んできた内容と仕事の内容の関連性を緩やかに判断しますが、専門学校の場合は、関連性を厳格に判断します。ビザの申請手続きは、これらの関連性を文書にて説明していく必要があり、説明が不十分であると不許可になる可能性が高まります。
  3. 申請人の学歴と実務経験を確認
    上記でも示したとおり、学んできた内容と従事予定の仕事が関連している必要があるため、申請人本人の学歴(実務経験)を確認する必要があります。面接時に取得する履歴書にて、本国または日本の学校で何を学んできたか、もしくは本国または日本国内で従事してきた仕事の内容から、どのような実務経験を積んできたのかを確認します。学校の場合、専攻していた学部、コースの名称だけでは何を学んできたかがわかりづらいため、場合によっては、単位履修表を取得して中身を確認する必要があります。ここまで確認しても、正直なところ、明確に関連性があると断定できないケースも多いため、専門家に相談をして慎重に事を運んでいくことをお勧めします。

企業内転勤

一般的には海外にある支社、グループ会社から日本にある本社、支社に外国人従業員を転勤させる時等に取得するビザです。
どのような業務にでも従事できる訳ではなく、「技術・人文知識・国際業務」で従事できる業務が対象となります。通常、転勤と言った場合は、同一会社内の異動を指しますが「企業内転勤」の在留資格の場合は以下のすべての異動が対象です。

  • 親会社、子会社間の異動
  • 本社、支社(支店)、営業所間の異動
  • 親会社、孫会社間の異動、及び子会社、孫会社間の異動
  • 子会社間の異動
  • 孫会社間の異動
  • 関連会社への異動

「企業内転勤」のポイント

  1. 申請直前において外国にある本店、支店その他の事業所にて1年以上継続して「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事していること
    「技術・人文知識・国際業務」では学歴要件が大きな壁となりますが、「企業内転勤」の場合は、外国にある本店等で「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事に継続して1年以上従事していれば学歴要件は問われません。
    よって、例えば高卒の従業員が外国にある支店等で「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事に就き、継続して1年以上働いた後に、日本の本店に転勤して「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事に就くことは可能です。
  2. 日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること

技能

技能ビザは主に外国人調理師が日本でコックとして働く際に必要なビザです。
産業上の特殊な分野に属するいわゆる熟練労働者として活動することが要件です。特殊な技能というと調理だけではなく、建築技術者、外国製品の製造・修理(ペルシア絨毯やヨーロッパ製のガラス製品等)、宝石・貴金属・毛皮加工、動物の調教、石油・地熱等掘削調査、航空操縦士、スポーツ指導者、ソムリエ等も該当します。ただ、「技能」のほとんどの案件がコックとして就労するケースです。

調理をしていれば必ず「技能」に該当する訳ではなく、例えば、中華料理においては、ラーメンや餃子などはルーツを辿れば中国発祥ですが、日本に伝わってから独自に日本で発展していった料理であり、もはや産業上の特殊な分野とは判断できないと裁判所で判決がなされており、取り扱う料理によっては、認められない場合があります。

「技能」のポイント

  1. 原則、10年以上の実務経験を有すること
    航空操縦士等の一部の例外を除いて実務経験が10年以上あることを証明する必要があります。過去の勤務先での在職証明書等で証明していきますが、最近の「技能」に対する審査は非常に厳しく、審査の過程で、提出された過去の勤務先の在職証明書をもとに、本国まで直接問い合わせを行って実務経験が真実であるか確認を取っています。
  2. 日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること

特定活動(インターンシップ)

外国の大学の学生がその大学の教育の過程の一部としてインターンシップによって来日する場合、ビザを取得する必要があります。
ポイントは大学に在学中にインターンシップによって単位取得が認められることであり、外国の大学と日本の企業の間でインターンシップに関する契約の締結がなされていることが重要です。

特定活動(インターンシップ)のポイント

  1. 申請人が外国の大学の学生であること
    インターンシップによって単位が取得でき、卒業、修了したものに対して学位が授与される教育課程であることが必要です。通信教育課程の外国人学生は対象外となります。
  2. 給与が支払われること
    大学の専攻と職務内容に関連性があり、給与の支払いがあることが要件の1つです。実費程度の支給であれば給与とは言えず、インターンシップに関する労務の対価として給与が支払われる必要があります。
    実費のみの支払いで、90日を超えない場合、短期滞在に該当する可能性があるため、どの在留資格に該当するかは慎重に判断しなくてはいけません。
  3. 最長1年を超えない期間まで
    期間は1年を超えない範囲内で、外国の大学と日本の企業間でインターンシップに関する契約を締結している必要があります。