案件の経緯

2022年7月、経営・管理ビザの申請が不許可となったバングラデシュ国籍の代表取締役から再申請のご相談をいただきました。不許可理由として「複数の外国人が経営を行う合理的な理由が不足している」と判断されたとのことでした。依頼者の会社(以下「A社」)は2018年に設立され、中古車の輸出入販売を主に行っており、今後は繊維製品の輸入販売も開始する予定でした。また、バングラデシュにいる経営学を専攻した友人の息子を日本に招き、繊維事業を担当させたいとのご要望もありました。

課題

申請人はA社の役員として2020年末から参画し、当初は繊維事業を展開する予定でした。しかし、コロナ禍の影響で繊維事業の計画が遅れ、中古車事業を中心にビジネスを行う形となりました。中古車事業の年間売上は約8000万円に達し、安定した収益があるため、今後は繊維事業を申請人に任せる形で経営・管理ビザの申請を行いました。

外国人役員が2名以上で事業を経営する場合、それぞれの外国人が「経営・管理」の在留資格に該当する活動を行うための合理的な理由が必要とされます。具体的には、事業の規模、業務量、売上、役員報酬、従業員数などを総合的に判断される傾向があります。

解決策の検討

  1. 役員構成と業務増加による人事調整
    A社は再申請にあたり、役員構成の見直しと業務の増加に応じた人員調整を行いました。職員数をフルタイム4名とパート1名に増加させ、合理的な業務分担の体制を説明書類に添付しました。
  2. 業務内容の明確化
    社長が中古車事業をメインで担当し、申請人が繊維事業を担うことで、各外国人役員がそれぞれ独立した分野で従事する業務の内容を明確化しました。
  3. 事業展開の現状と見込みを明示
    繊維事業に関する具体的な資料(取引先とのやり取りが分かる注文書、領収書など)や、成長が期待されるバングラデシュの繊維産業や日本市場のニーズについて詳細に述べました。また、繊維事業のみの事業計画も追加で提出しました。その結果、2022年11月中旬に「在留資格認定証明書」の交付を受けることができました。

まとめ

複数の外国人が事業を共同で経営する場合、経営・管理ビザの審査基準は非常に厳しいです。したがって、合理的な理由をもって経営・管理に従事することの必要性を詳細に説明することが重要です。ビザ申請に関してお悩みの方は、ぜひ当社までご相談ください。