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「ずっと日本で安心して暮らしたい」「仕事や家族との生活を、もっと自由に安定させたい」――
そんな願いを持つ外国人の方にとって、「永住者」や「特別永住者」という在留資格は、大きな転機となります。
しかし、「永住者」と「特別永住者」には、取得の条件や権利の範囲、歴史的な背景など、実は大きな違いがあることをご存じでしょうか?
それぞれの制度を正しく理解することで、ご自身やご家族の将来設計に役立てることができます。
この記事では、「永住者」と「特別永住者」の特徴や違い、そしてそれぞれのメリット・注意点をわかりやすく解説します。
日本での生活をより安定させたい方、外国人雇用を行う企業のご担当者にも必見の内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
特別永住者とは?特定の歴史的背景を持つ外国人とその子孫に与えられる資格
特別永住者は、1991年に施行された「入管特例法」に基づき、特定の歴史的背景を持つ外国人とその子孫に与えられる資格です。
主に、第二次世界大戦後に日本国籍を失った韓国・朝鮮人、台湾人とその子孫が対象となります。
特別永住者の主な特徴
ここからは、特別永住者の主な特徴を4つ解説していきます。
身分を継承することで取得可能
特別永住者の資格は、該当する親や祖先から継承することで得られます。
申請に必要な条件は、通常の永住許可申請と比べても緩やかです。
在留期間の制限がない
特別永住者は日本に滞在できる期間に制限がありません。
ただし、「特別永住者証明書」は定期的な更新が必要です。
一般の永住者よりも強制送還のリスクが低い
強制退去となる条件は、国家の安全や外交に重大な影響を及ぼす犯罪など、非常に限定的です。
一般の永住者よりも強制送還の対象となる範囲が狭くなっています。
再入国許可の有効期間が長い
特別永住者が取得できる再入国許可の有効期間は最長6年と、一般永住者よりも長く設定されています。
特別永住者の要件
サンフランシスコ平和条約に基づく国籍離脱者、またはその子孫であること
1952年のサンフランシスコ講和条約の発効に伴い日本国籍を失った在日韓国・朝鮮人や在日台湾人、そしてその子孫が対象となります。
1991年11月1日時点で特定の在留資格を持っていたこと
1991年11月1日時点で、該当する在留資格を持って日本に在住していたことが必要です。
永住者とは?日本での永住が認められ、在留資格の更新が不要に
永住者とは、法務大臣から「永住許可」を受けた外国人のことを指します。
日本に永住することが認められ、在留資格の更新が不要となるため、長期的に安定して日本で生活できます。
永住者の主な特徴
在留期間の制限がない
永住者は日本での在留期間に制限がなく、永住者カードの定期的な更新のみが必要です。
就労制限がない
特定技能や技術・人文・国際業務のような就労ビザには、職種や業種の制限があります。
ですが永住ビザであれば、職種や業種に関係なく、どのような仕事にも従事できます。
家族の帯同が可能
配偶者や子どものビザ取得が比較的容易です。
今後家族と一緒に日本に住みたい外国人にはおすすめです。
社会的信用が高まる
住宅ローンなどの審査で有利になるなど、社会的な信用度が高まります。
永住許可を取得するための3つの要件とは?
永住許可を取得するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
素行が善良であること
永住許可を得るには、日本の法律や社会的ルールを遵守し、日常生活において非難されるような行動がないことが求められます。
具体的には、過去に重大な犯罪歴や交通違反がなく、罰金刑や懲役刑などの処罰を受けていないことが基準です。
軽度の交通違反であっても、回数が多い場合は評価に影響する可能性があるため注意が必要です。
独立した生計を営むこと
申請者本人およびその家族が、日本で安定した生活を維持できるだけの収入や資産を有していることが求められます。
生活保護を受給していないことが前提であり、課税証明書や納税証明書などにより、継続的な収入および納税状況が審査されます。
扶養家族がいる場合は、世帯全体としての収入が審査対象となり、配偶者の収入も合算されることがあります。
永住が日本の利益に合致すること
次のような条件を総合的に満たす必要があります。
-
原則として、過去10年以上継続して日本に在留していること(うち5年以上は「就労可能な資格」または「居住資格」での在留が必要。ただし、「技能実習」や「特定技能1号」は除外)。
-
納税や社会保険料の納付、入管法に基づく各種届出など、公的義務を適正に履行していること。
-
現在の在留資格で許可されている最長の在留期間(例:3年または5年)を持っていること。
-
公衆衛生上の問題がなく、感染症など社会に悪影響を及ぼすリスクがないこと。
以上の要件をすべて満たす必要があり、審査は非常に厳格に行われます。
ただし、日本人の配偶者や特別永住者の子供などは、一部要件が緩和されるケースがあります。
3. 「永住者」と「特別永住者」の違いを比較
永住者と特別永住者は、名前は似ていますが、歴史的背景や根拠となる法律が違います。
ここでは永住者と特別永住者の違いについて比較し、表にまとめました。
永住者 | 特別永住者 | |
---|---|---|
法的根拠 | 出入国管理及び難民認定法 | 入管特例法 |
申請手続き | 地方入国管理局で申請 | 市区町村の窓口で手続き |
取得要件 | 厳格な審査(素行・収入・納税状況など) | 基本的に身分の継承で取得 |
証明書の携帯義務 | 在留カードの携帯が義務 | 携帯義務はないが、提示が求められる場合あり |
強制送還の条件 | 犯罪を犯した場合に対象となる | 重大犯罪(内乱罪・外患誘致罪など)のみ |
再入国許可の有効期間 | 最大5年(みなし再入国許可は1年) | 最大6年(みなし再入国許可は2年) |
※ 特別永住者は、歴史的背景を踏まえ、一般の永住者よりも保護や優遇措置を受けています。
4. 永住者と特別永住者どちらで申請するのが有利?
「永住者」が向いている人は生活の幅を広げたい人
- 長期間日本で働きたい、起業したい人
- 住宅ローンやクレジットカードを作りたい人
- 日本に安定した収入源を持ち、将来も住み続けたい人
永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づく在留資格です。
在留期間や就労に制限がなく、社会的信用も高まるため、経済活動や生活の幅を広げたい人に適しています。
「特別永住者」が向いている人は手続きを簡単に済ませたい人
- 戦後の歴史的経緯により、日本国籍を離脱した家系の人
- より強い法的保護を求める人
- 手続きの負担を減らしたい人
特別永住者は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」に基づく特別な在留資格です。
身分の継承によって取得でき、審査要件や手続きが一般の永住者よりも大幅に緩和されています。
外国人労務管理に携わる方も、永住者と特別永住者の違いを理解することが大切!
企業の人事担当者や外国人を雇用する経営者にとっても、従業員の在留資格を正しく理解することは、労務管理やリスク回避の観点から重要です。
例えば、「永住者」は転職が自由ですが、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ外国人は転職によって在留資格の変更が必要になる場合があります。
「永住者」と「特別永住者」の違いを正しく理解し、適切な対応をすることが、日本での生活やビジネスの成功につながります。
行政書士に相談してスムーズに手続きを進めましょう
永住許可の申請や在留資格の手続きには、専門的な知識が必要です。
適切なアドバイスを受けながら手続きを進めることで、スムーズに許可を取得できる可能性が高まります。
当事務所では、外国人の方の在留資格に関するサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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