1. 永住者とは?

永住者とは、法務大臣から「永住許可」を受けた外国人のことを指します。日本に永住することが認められ、在留資格の更新が不要となるため、長期的に安定して日本で生活できます。

永住者の主な特徴

  • 在留期間の制限がない(ただし、在留カードの更新は必要)
  • 就労制限がない(どのような仕事にも従事可能)
  • 家族の帯同が可能(配偶者や子供のビザ取得に有利)
  • 社会的信用が高まる(住宅ローンの審査などで有利)

永住許可を取得するための要件

永住許可を取得するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 素行が善良であること

    • 過去に犯罪歴がない
    • 交通違反が少ない
    • 日本の法律を遵守している
  2. 独立した生計を営むこと

    • 安定した収入がある(一定以上の年収が求められる)
    • 生活保護を受けていない
  3. 永住が日本の利益に合致すること

    • 納税義務や社会保険料を適切に支払っている
    • 現在の在留資格で最長の在留期間を持っている
    • 公衆衛生上の問題がない(感染症などのリスクがない)

また、日本人の配偶者や特別永住者の子供などは、一部要件が緩和されるケースがあります。


2. 特別永住者とは?

特別永住者は、1991年に施行された「入管特例法」に基づき、特定の歴史的背景を持つ外国人とその子孫に与えられる資格です。主に、第二次世界大戦後に日本国籍を失った韓国・朝鮮人、台湾人とその子孫が対象となります。

特別永住者の主な特徴

  • 身分を継承することで取得可能(申請条件が比較的緩やか)
  • 在留期間の制限がない(特別永住者証明書の更新は必要)
  • 一般の永住者よりも強制送還のリスクが低い
  • 再入国許可の有効期間が長い(最大6年)

特別永住者の要件

  1. 平和条約に基づく国籍離脱者、またはその子孫であること
  2. 1991年11月1日時点で特定の在留資格を持っていたこと

3. 「永住者」と「特別永住者」の違いを比較

永住者 特別永住者
法的根拠 出入国管理及び難民認定法 入管特例法
申請手続き 地方入国管理局で申請 市区町村の窓口で手続き
取得要件 厳格な審査(素行・収入・納税状況など) 基本的に身分の継承で取得
証明書の携帯義務 在留カードの携帯が義務 携帯義務はないが、提示が求められる場合あり
強制送還の条件 犯罪を犯した場合に対象となる 重大犯罪(内乱罪・外患誘致罪など)のみ
再入国許可の有効期間 最大5年(みなし再入国許可は1年) 最大6年(みなし再入国許可は2年)

特別永住者は、歴史的背景を踏まえ、一般の永住者よりも保護や優遇措置を受けています。


4. まとめ:どちらが有利?

「永住者」が向いている人

  • 長期間日本で働きたい、起業したい人
  • 住宅ローンやクレジットカードを作りたい人
  • 日本に安定した収入源を持ち、将来も住み続けたい人

「特別永住者」が向いている人

  • 戦後の歴史的経緯により、日本国籍を離脱した家系の人
  • より強い法的保護を求める人
  • 手続きの負担を減らしたい人

企業の人事担当者や外国人を雇用する経営者にとっても、従業員の在留資格を正しく理解することは、労務管理やリスク回避の観点から重要です。 例えば、「永住者」は転職が自由ですが、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ外国人は転職によって在留資格の変更が必要になる場合があります。

「永住者」と「特別永住者」の違いを正しく理解し、適切な対応をすることが、日本での生活やビジネスの成功につながります。


行政書士に相談を!
永住許可の申請や在留資格の手続きには、専門的な知識が必要です。適切なアドバイスを受けながら手続きを進めることで、スムーズに許可を取得できる可能性が高まります。 当事務所では、外国人の方の在留資格に関するサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。